この記事の要点
- 6か月以内ごとに1回、統一的に調査し措置を講じる
- 厨房・排水槽などは2か月以内ごとに生息状況を調査
- IPMは許容・警戒・措置の3水準で判定し記録を残す
法令と告示の頻度
| 対象 | 頻度・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 建物全体 | 発生場所・生息場所・侵入経路・被害の状況を6か月以内ごとに1回、定期に統一的に調査し、結果に基づき必要な措置を講じる | 建築物衛生法施行規則4条の5第2項1号 |
| 食料を扱う区域、排水槽・阻集器・廃棄物保管設備の周辺など | 2か月以内ごとに1回、生息状況等を調査し、必要に応じ措置を講じる | 告示第119号第六の二 |
| 薬剤 | 殺そ剤・殺虫剤は医薬品医療機器等法の承認を受けた医薬品または医薬部外品を用いる | 同規則4条の5第2項2号 |
告示第119号第六は、このほか、調査結果に基づき建築物全体の作業計画を立てること、防そ防虫網などの機能を点検すること、薬剤の使用と管理を適切に行い事故の防止に努めること、作業後に必要に応じ換気や清掃を行うことを定めています。
IPMの3つの水準
厚生労働省のIPMの施工方法は、調査で得た捕獲指数などをもとに、許容水準・警戒水準・措置水準の3段階で判定し、それぞれに必要な措置を定めています。対策後の評価で許容水準を満たしていることが必要としています。
| 水準 | 条件 |
|---|---|
| 許容水準 | 捕獲指数0.5未満、1個のトラップの捕獲数2匹未満、生きた個体が目撃されない(すべてに該当) |
| 警戒水準 | 捕獲指数0.5以上1未満、1個のトラップの捕獲数2匹未満、時に目撃される(すべてに該当) |
| 措置水準 | 捕獲指数1以上、1個のトラップの捕獲数2匹以上、かなり目撃される(いずれか1つ以上) |
ネズミの許容水準は、生きた個体が確認されないこと、配置した無毒餌が喫食されないこと、天井の出入り口に置いた黒紙に足跡や囓り跡が付かないことのすべてに当たる状態です。生きた個体が確認されれば措置水準です。
同じ施工方法は、ゴキブリ対策で殺虫剤を処理する場合、少なくとも3日前までに使用薬剤名・実施場所・においの程度などを書いた事前通知書を提示し、少なくとも実施の3日後まで当該場所の入り口に掲示するとしています。
ゴキブリの調査では、粘着トラップを厨房など発生しやすい場所で5㎡に1枚、事務所などで25〜50㎡に1枚を目安に3〜7日間置き、1日1トラップあたりのゴキブリ指数を出します。
IPMの手順
体制と水準を決める
責任者と役割分担を決め、区域ごとの目標水準を決める。
調査する
目視のあと、問題がありそうな場所でトラップなどの客観的な調査を行い、どの水準に当たるかを明らかにする。
措置を行う
環境整備・侵入対策を基本に、必要なら薬剤やトラップを使う。薬剤は処理前後の少なくとも3日間掲示する。
効果を判定する
水準を達成したかを確かめ、達成していなければ原因を調べて再度措置する。
記録を残す
経過をすべて記録し保存する。
残す記録
IPMの施工方法は、記録に、作業の日時・場所・実施者、調査の方法と結果、決めた水準、措置の手段、実施場所、評価結果を含めるとしています。
東京都健康安全研究センターは、特定建築物に備える帳簿書類として、生息状況の点検計画、点検記録、防除計画、防除実施記録と効果の調査記録を挙げています。帳簿書類は5年間保存します(建築物衛生法施行規則20条2項)。
東京都の立入検査の視点では、給湯室・厨房・排水槽・廃棄物保管場所などの生息状況を毎月点検しているか、薬剤の名前・濃度・量・方法を使用場所ごとに明記しているか、効果判定を行っているかが挙げられています。
よくある質問
ねずみ等の防除にも登録があるか。
建築物衛生法12条の2第1項7号は、建築物におけるねずみ等の防除を行う事業を、登録を受けることができる事業の一つに挙げています。
6か月ごとの調査だけでよいか。
告示第119号は、食料を扱う区域や排水槽の周辺など特に発生しやすい箇所について、2か月以内ごとに1回の調査を定めています。
すいそう台帳でできること
すいそう台帳は、2業種目の追加(害虫防除)で、建物にトラップの点を登録し、点ごとの捕獲数の推移と、許容・警戒・措置の水準での判定をIPM報告書にまとめます。水準の値は会社で決めて入れます。
出典
- e-Gov法令検索「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則」第4条の5
- 厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」(平成15年厚生労働省告示第119号)
- 厚生労働省「第6章 ねずみ等の防除 ― IPM(総合的有害生物管理)の施工方法」
- 東京都健康安全研究センター「備付け帳簿書類」
- 東京都健康安全研究センター「ビル管理技術者が行うべき業務」
- e-Gov法令検索「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則」第20条
最終確認日
個別の判断は税理士・所轄の役所にご確認ください。